京生き物ミュージアム

島津製作所の生物多様性保全活動について

 平成29(2017)年3月2日
 株式会社島津製作所

 島津製作所では,環境方針に基づき,国際的な課題である生物多様性の保全に対して,事業活動を通じた取組を進めています。それらの取組の中から,環境活動チーム「え~こクラブ」による小中学生向け生物多様性教育,京都府南丹市の森を整備する「島津製作所の森づくり活動」,本社工場(京都市中京区)内に造成した「島津の森」について御紹介します。

 今後も,これらの取組を通じて,地球環境の保全と事業活動との調和を経営の最優先課題の一つとして位置付け,持続可能な社会の構築に貢献してまいります。

「え~こクラブ」による生物多様性教育

 「え~こクラブ」は,島津製作所内の女性社員を中心とする環境活動チームで,社員への環境教育の啓発を目的として,1999年に誕生しました。チーム名「え~こクラブ」は,『環境に良いことをしよう』という意味と,京都弁で“良い子”のことを『え~子』というところから名付けました。

 「え~こクラブ」では,絶滅危惧種を学ぶことのできる生物多様性カードゲーム「bidi」を制作(同志社大学・京都精華大学学生との共同制作)し,小学校などを対象に,このゲームを用いた環境出前講座などを継続的に実施しています。

生物多様性アクション大賞のつたえよう部門で優秀賞を受賞

 第1回「生物多様性アクション大賞」で,環境活動チーム「え~こクラブ」が「つたえよう部門」優秀賞を受賞しました。同賞は,第65次国連総会(2010年,ニューヨーク国連本部)で採択された「国連生物多様性の10年」の日本委員会が推進する,「MY行動宣言5つのアクション(たべよう,ふれよう,つたえよう,まもろう,えらぼう)」に即した活動を表彰することで,生物多様性の主流化を目指すものです。

「島津製作所の森づくり活動」

 2008年から京都モデルフォレスト運動へ参画し,「島津製作所の森」(京都府南丹市)における森林保全活動を継続的に実施しています。島津グループの社員及び家族を対象としたボランティア参加者が主体となって,地元や関係団体の方々の指導の下で,間伐や植樹,下草刈りなど森林整備活動を実施しています。また,参加者に少しでも森や自然を身近に感じていただくため,外部の専門家を招き,森林の植生や獣害被害などの知識を学ぶ森林観察会を実施したり,親子で体験する木工教室や苔玉づくりなどを行っています。

「島津の森」

 2014年の本社社屋建て替えに伴って,敷地内の緑化をさらに推進し,生物多様性の保全・育成や在来種の自然植生などをコンセプトに,本社工場内に敷地面積約8,000㎡の「島津の森」を整備しました。この緑地帯は,公益財団法人日本生態協会が開発・運営し,生物多様性の保全や回復に資する取り組みを客観的に定量評価するハビタット評価認証(JHEP認証)(※1)において,最高ランクのAAA評価を取得することができました。

 また,「島津の森」の中では,京都の葵祭で使用されるフタバアオイや,源氏物語に登場するフジバカマを育成し(※2),在来の生態系とともに伝統的な文化の継承を図っています。

 今後も,さらにこの豊かな生態系の維持・保全に努めてまいります。

 なお,「島津の森」は安全やセキュリティ上の理由から,一般公開を行っておりません。

 

※1 ハビタット評価認証(JHEP認証)について

 公益財団法人 日本生態系協会が定める,生物多様性の保全や回復に資する取り組みを客観的に定量評価し,評価結果に基づいて認証する制度。1970~80年代に米国内務省が開発したハビタット(生きもののくらす環境)の観点から環境を評価する手法(HEP)をもとに創設された。事業の実施によって得られる「将来50年間の自然の価値」が評価基準を上回る場合,生物多様性に貢献する事業として各評価ランクに認証される。生物多様性の価値を客観的に数値化することで,効果的な取組を普及させることを目的としている。

※2 フタバアオイ及びフジバカマの保全活動は,京都市の「京の生きもの・文化協働再生プロジェクト認定制度」において,第13号認定を受けている。